あがり症とたたかう演奏家Ichiyoのブログ

あがり症とうまく付き合えるようになるためにやっているトレーニング方法や学んだ理論などを紹介します。私はあがり症研究の専門家ではありません。

Fight or Flight・あがり症とアドレナリンの関係

あがり症の症状の中で私が一番恐れているものは…

 

前回の投稿に書きましたが、血の気がひき、手、腕や足からじわじわと痺れていく感覚に加え、頭も痺れてくる感覚です。

 

過去に一度気絶して倒れた事があるのですが(これはあがり症や本番のときではないです)、気絶する直前の感覚にとても似ています。

頭がクラっとして、視界も端から黒くなる感じ。

これが、私の場合は本番直前や、舞台にでて歌い始めてから突然出てくる事があります。

 

人間は身の危険を感じたときにアドレナリンを大放出させて、身体のパフォーマンスをぐんと引き上げるという機能が備わっています。

 

これは人間が文化的な生活をおくる以前から、つまり、自然により近い生活をしていた頃から備わっている動物的な機能で、アドレナリンを出す事によって、その危険との戦いのパフォーマンスを上げたり、素早く逃げられたりするように、通常時とは違う身体の状態にするという目的があります。

 

今日のタイトルにも入れた、Fight or Flight(闘うか、逃げるか)とはまさにこの状態のことになります。

 

だから、アドレナリンが出て身体が臨戦状態になるというのは基本的には良いことなのです。

 

しかし、ある以上の量のアドレナリンが出てしまうと、身体は別の反応を示し出します。

多ければ多いほど良い、というわけではないのです。

 

私のアドバイザーの一人から聞いたのですが、身体が危険を察知してアドレナリンが出すぎてしまい、このとき身体中の血液を心臓に集中させる、というアクションが起こっているようです。

 

ですから、私の「身体の末端や頭からじわじわ痺れていく」「血の気がひく」という感覚は、まさにその通りのことが身体の中では起こっていたと言えます。

 

よく映画などの中で「あまりの恐怖に気を失ってしまう」という表現がありますが、これは同じくアドレナリンのオーバードーズ状態の結果なんだろうなと思っています。

 

では、アドレナリンを多すぎず、適量放出するためにはどうすれば良いか?

 

まずは、身体と心がリラックスする方法を学ぶことです。

 

言うは易し。本番時にリラックスなんて簡単にはできないということは、演奏家のみなさんが一番分かっていらっしゃることだと思います。私も大変苦労しています。

 

ちなみに、ここで言うリラックスとは、家でだらだらしている時のようなものではないことをお断りしておきます。前述の通り、アドレナリンの過剰分泌を防ぐ、と言う意味でのリラックスです。

例えばアドレナリンが出過ぎてしまう人の本番時の分泌量が70%、家でだらだらしている時が0%だとしたら、パフォーマンス力は上げつつ、あがり症による支障が出ない30%くらいまで落としましょう、というイメージです。

 

アドレナリンの放出は、人間が危険を察知したときに起こるわけですから、その認知する危険の度合いをなるべく小さいものにしてあげれば良いということです。

 

”危険”とは、太古の昔では”自分が怪我を負ったり、死んだりするかもしれない状況”だったわけですが、現代ではそんな状況になることはまずありません。ましてや演奏会のときに命の危険が迫ることなんてそうそうないことです。

 

なのになぜ自分が演奏するときに”危険”を察知しFight or flightの状態になってしまうのでしょうか。

 

何を持って”危険”としているか理由は人それぞれですが、私の場合は、自分が聴衆の批判に晒されることをとても驚異に思ってしまっているようです。あがり症を持っている人は、まずは、なぜ自分がステージでパフォーマンスすることを危険と認定しているのか、その理由をじっくりと紐解く必要があります。

 

理由がはっきりしたら、またはある程度分かってきたら、トレーニングを初めてみましょう。

 

…とそう一口に言っても、ものすごくたくさんの観点や選択肢があります。また、一人一人適切なトレーニング内容は違うので、たくさんの選択肢の中から自分に合いそうなものを選んで、またはかたっぱしから試していく必要があります。

 

実際、これは時間がかかるし、やっていくうちにこれ合わないな…となればそれをやめてまた別のものに取り掛かる、ということの繰り返しになるので一見無駄に見えるようなことが多く、非常に根気のいる作業になります。トライアンドエラーでございます。

 

それでもあがり症をなんとかしたい!というみなさん、一緒に頑張りましょう。

 

それでは次回の投稿で、呼吸のトレーニング方法を紹介したいと思います。