あがり症とたたかう演奏家Ichiyoのブログ

あがり症とうまく付き合えるようになるためにやっているトレーニング方法や学んだ理論などを紹介します。私はあがり症研究の専門家ではありません。

トラウマ体験談とあがり症の症状

今日は自分のあがり症について書いてみようと思います。

 

私があがり症を初めて経験したのは、10年ほど前になります。歌い始めた自分の声は、短くない待ち時間と緊張から少し痰が絡んでいました。そのことに驚いてしまい、始めの数小節を歌っている間、腕から血の気が引き痺れ、気絶しそうな感覚に襲われました。同時に「これ以上歌えない。今すぐ歌うのをやめて舞台から降りたい」と思ったのを覚えています。しかしその衝動を必死に我慢して歌うのをやめずに、4分ほどの曲を最後まで歌い切りました。ちなみに本番前、本番中にあがり症が出てきた時は、今すぐここから逃げたいと必ず頭をよぎるのですが、幸か不幸か、今までドタキャンしたことも、演奏を途中でやめたこともありません。

 

振り返ると、これが最初のトラウマになってしまったあがり体験でした。その後もしばしばこの感覚に襲われ(毎回ではないけど)、その度に恐怖と戦い、本番が終わった後は疲労と絶望感が残ります。これを抱えたまま演奏家としてやっていけるのか?という未来に対する絶望感です。

 

私の本番時の体の症状は、以下のとおりです。

 

・口の中と声帯付近が渇く(いつも)

・喉が渇くせいで、声帯同士が張り付く感覚がする(あったりなかったり)

・痰が絡む(いつも)

・手足が震える(いつも)

・脂汗をかく(いつも)

・動悸(いつも)

 

これらの症状は、程度(強度)はさておきどんな本番時にも出ます

 

ちなみに、本番時のこういった症状は、その演奏家の楽器に関係するものが多いと聞いた事があります。例えばピアニストなら手や腕に関係する症状、声楽家や管楽器奏者なら、口の中の症状、というような感じです。私も手が震えたり手汗をかいたりもしますが、演奏に直接関係するところの不調や違和感の方を真っ先に感知してしまうのは、当然なのかもしれませんね。

 

さてここから、あがり症の症状を挙げてみます。

 

体の症状(上記の症状に加えて)

 

・腕や脚や頭から血の気がひき、じわじわと痺れていく感覚

・軽いめまい

 

心の症状(心の声)

 

・頭が真っ白になり、理性的に考えられなくなる

・もうできない、逃げたい

・出番直前(数分前)なら、今からドタキャンしたらどうなるか?と考え出す

・出番直前(数分前)なら、歌っているときに練習でできていた事が全くできなくなるんじゃないか?と考え出す

・やばいやばいやばいやばいやばい…(エンドレス)

 

演奏家のみなさま、いかがでしょうか、一部でも似たような経験があるのではないでしょうか😅私はこれをパニック状態と呼んでいます。

 

私のあがり症は前触れもなく突然訪れるので、10秒前まで落ち着いていたのに急にパニックになったりします。毎回必ず起こるわけではないし、いつどんな条件で発動するかはまだ観察中なのですが、起こるとすれば、伴奏者や聴衆のことをよく知らないときが多いです。例えば門下の試演会など、聴衆もよく知っている人たちの本番では起こりづらいけど、学外での演奏時、知らない人がたくさんいる時には起こりやすいです。また、本番の一時間前などかなり離れた時間帯に起こることはなく、自分の出番の10分〜数分前か、歌い始めてすぐのとき、私の場合はこの二つの時間帯に全て起こっています。

 

このパニックが起こるメカニズムと、症状とどのようにつきあっていくか、私のやっている対処法を、次回書いてみようと思います。